笑顔、笑う人、おもしろがられる人

・ぼくなんかより、ずっと年上のご夫婦がおりまして。
そのご主人のほうが、言ったんです。
「女房はねぇ、おもしろいんです」とね。
明るくて、こまめに働いているのが似合って、
実はとっても趣味がよくて、かわいい奥さまなんだけど、
なによりも「おもしろい」んですって。
そういうこと言われたりしているとき、奥さまは、
口元はほころばせたままで、ちょっと怖い顔をつくって、
ころころと笑うんですよね。
 
これは、前にも書いたような気がするんですが、
「女房はねぇ、おもしろいんです」というセリフは、
なんだか、なんのイヤミもなくすてきなのろけでした。
惚れてるだの、愛してるだの、好きだのというより、
「おもしろいんです」のなかに、
パートナーへの尽きせぬ興味と敬意を感じました。
 
・そういえば、と思い出したのが、犬のことです。
たしか、ぼくが海外出張しているときでした。
うちの「女房」が、
実家に犬を連れて帰っていたんです。
ぼくはメールで、
「ブイヨン、かわいがられてる?」と、
問い合わせました。
その返事が、
「かわいがられてるかどうかわかりませんが、
よく笑われています」でした。
それはよかったなぁ、と、ぼくは思いました。
犬が「よく笑われています」は、とてもいい。
 
・太宰治だったと思うけれど、
女性が、あなたを見て笑ったら、
それは好かれているんだ、というような文がありました。
 
「笑む」というのは、果実が熟して裂け開くこと。
つぼみがほころびるということです。
笑っている人は、やわらかくほころびているわけで、
それをさせている人や、犬は、
たしかに、とてもたっぷりと好かれていると思えます。
笑顔、笑う人、おもしろがられる人‥‥みないいな。
 
今日も「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
どこのページでも、ちょっと笑えたりするとうれしいね



ほぼ日刊イトイ新聞 今日のダーリン 2011年10月21日更新分
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2010.11.29 am6:50
「 白い月 」

2010.11.29 am6:50

「 白い月 」

2010.11.29 am7:17
「 朝がくる 」

2010.11.29 am7:17

「 朝がくる 」

2010.11.4 am6:44「 あの向こう 」 

2010.11.4 am6:44
「 あの向こう 」 

お通夜のたのしい人になりたい

・ぼくの理想的な生き方というのは、
と、考えることはよくありました。
いや、いまも、考えているような気がします。
なんども、ぐだぐだと考えて、
いまんところ、いちばん近いかなと思う理想は、
「お通夜のたのしい人になりたい」なんです。

告別式というか、お葬式のほうは、
儀式だから、しょうがないと思うんです。
でも、お通夜というのは、
平服で駆けつけるようなものでしょう。
そこで、故人のいろんな話をしながら、
なにか食べたり、飲んだりしながら、
「その人のいない夜」を過ごすわけですよね。

お通夜の席では、おそらくですが、
総理大臣をやったとか、ノーベル賞をとったとか、
そういうことじゃ、話は弾まないでしょう。
どれほどエライ地位や肩書きや栄誉があったとしても、
みんなが語りたい故人というのは、
そんなことじゃない。
人間としての思い出なんです、きっと。

どこそこに行ったとき、こんなバカなことがあった。
あんな食べものが好きだった。
こんなとき、こんなふうに本気で怒ってた。
そういえば、ちょっと親切にもされたっけ。
妙なものをくれたことがある。
実は、こういう秘密があって、大笑いだよ。
この歌が好きだったよな。
‥‥まるで、はだかに近いただの人として、
どういうやつだったかが、語られるわけです。

この場での話がきりもなく続いてさ。
集まってくれた人たちが、いくらでもしゃべりたくて、
帰るのがもったいなくなるようなお通夜。
その通夜の「ご当人」というか、「死人」でありたい。
ずいぶんぜいたくとも言えるんだけれど、
そういう故人になるように、ぼくは生きたいのです。
ぼくの理想的な生き方についての、答えです。

今日も「ほぼ日」に来てくれて、ありがとうございます。
「今日の日も、通夜の種なり、すべてよし」です。



ほぼ日刊イトイ新聞 今日のダーリン 2010年11月20日更新分
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「よろこんでもらう」を確かめるモノサシ

ひとりで仕事をするとき、
みんなでミーティングをするとき、
外の人といっしょに打ち合せをするとき、
いま考えていることは、「合ってるのか?」
ときどき確認する必要があります。

アイディアでも、コンセプトでも、方法でも、
宇宙空間に遊泳しているわけじゃないのだから、
ある引力に対して、どこにあるのか、
指し示せないといけないんです。
そういうときのための
モノサシみたいなものが必要です。
それは、関わっている人のあたまのなかにあれば、
十分だととも言えるのですが、
やっぱりモノサシだから見えていて、
誰でもが確かめられるほうがいいわけです。

ぼくらが使ってるモノサシがあります。
社内で秘密に使っているものでもあるのですが、
誰が使ってもいいや、と、ふと思えたので、
発表してしまいます。


「よろこんでもらう」を確かめるモノサシです。
_______________________

☆じぶん ☆取引先  ☆お客さま  ☆社会
と仲間  と関係者  とその周辺  と歴史
_______________________

それぞれの☆の横にある人たちが、
「よろこんでくれる」と思えたら、
☆を★に塗りつぶします。

★★★★ の仕事は、がんばってやるべきです。
★★★☆ の場合は、まだ検討したいところです。
★☆★★ だと、長続きしないと思われます。
☆★★★ これは、うまくいきません。
‥‥というふうに使います。
いろんなことに、当てはめて使ってもらえたら、
これを発表したことが、ぼくらにとって★★★★です。


ほぼ日刊イトイ新聞 今日のダーリン 2010年11月18日更新分
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悩みなんてひとつもないと思っていた

そうか。 

気づいてしまった。 

私にはもう 

達成できても、できなくてもどっちでもいい目標や 

叶っても、叶わなくてもどっちでもいい願いしかないんだ。 

簡単にできることならやるけれど 

つらい思いや苦しい思いをするくらいなら 

もういまのままでいい。なにもしたくない。 

これ以上なにも欲しくないし 

なりたいものもない。 

ずっといまのままがいい。 

いま考えればこれまでの人生、私は 

平らなほう楽なほうを都合のいいほうを選び続けてきたと思う。 

だからいままで大してつらい思いもしたことがないような気がする。 

悩みなんて、どうでもいいような小さな悩みしかなかった。 

私が特別、鈍感なのではなく、楽観的なのではなく 

実際、つらい場面に遭遇してないんだと思う。 

だからいつだってへらへら生きてこれたんだ。 

なんとなくよさそうなものだけを選んで過ごしてきて 

なるようになってきた。 

大した苦労もせず、なんかうまい具合に転がってきた。 

これはもう、 

なにかのためにつらい思いや、ものすごい努力をしている人にとっては 

私なんか生きてるだけで失礼なんじゃないか。 

がんばっている人に申し訳ない。 

かと言って、じゃあ私もなにかつらい思いをして 

努力してなにかしようとも思えない。 

なにかをしなきゃどうしようもない場面に遭遇したときだけ 

しょうがなくそのなにかをする。 

私には、向上心のかけらもない。 

とにかく、考えても答えが出ないような問題を 

延々考えつづけるのが本当にきらいなんだ。 

将来どうなりたいかなんて、考えられない。 

べつにどうにもなりたくない。いまのままでいい。 

なるようになればそれを受け入れる。 

これを現実逃避というんだろうけど 

考えたくないものは考えたくないし考えられない。 

無理に考えようとすると頭の中でなにかが爆発する。 

目の前のことしか考えられない。 

たぶん私の頭は猫とさほど変わらない。将来プランなんてない。 


みんなみたいにずっと先の未来のことを考えるようになったら 

私はたぶんおかしくなって死ぬと思う。


2009年03月23日00:33のmixi日記より転載

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1116111686&owner_id=385952

「おしゃれ」について

ひいきの蕎麦屋さんがいっしょなもので、
写真家の操上和美さんにはよくお会いしてたのですが、
しばらくごぶさたしていました。

で、ひさしぶりに会って、
あらためてつくづく思ったんですよ。
「やっぱり、おしゃれだわ」ってね。
「おしゃれでしょ」っていうんじゃないんです。
これが好きこれがいいと思うっていう服や靴を、
気分よく身につけている感じなんですよね。
「どうでもいいや」の部分がないんです。
操上さんの写真が、そういうものだものなぁ。

目と手が関わってる、じぶんの姿にもね。
あとで、家人も「歯もきれいだったよ」と言ってました。
そうだろうなぁ。
立ち居振る舞いというか身のこなしも軽快で、
とにかくそれも含めて「おしゃれ」なんです。

操上さんの若々しさとか元気さって、
根本に「おしゃれ」があるかもしれない。
ぼくと同じねずみ年ですから、12歳年上ですよ。
73とか、4とか、そういう年齢の人なんですよ。
これまでも、その若さを「ばけものですよ」なんて
からかっていましたけれど、
その根底に「おしゃれ」があるかもしれないと思うと、
なんだか、わかるような気がしてきました。

中年の男が「腹がでてきたなぁ、よくないなぁ」と、
健康のことを思うとき、同時に無意識ででも、
「おしゃれ」のことを考えてるような気がするんです。
そこで、「いいや。腹が出てたって、ふつうだもん」
と思ったら、そのまま行っちゃう。
「そういうおやじになるのはいやだ」と、
「おしゃれ」なことを思ったら、戻そうとする‥‥。
なんか、そういうことなんじゃないかと思うんです。
「年相応におじいさんっぽく」っていう考えのなかにも、
「おしゃれなおじいさん」って理想像もあるもんな。
12歳年下のぼくは、ちょっと、目を覚ましますよ。
操上和美さんの四半分でも「おしゃれ」をしなきゃ。

ほぼ日刊イトイ新聞 今日のダーリン 2010年10月25日更新分
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ディズニーのパーティ

・思い出ばなしをします。
「ほぼ日」をスタートさせてまだ間もないころ、
フロリダで開かれる、
ディズニーのコンベンションにご招待を受けた。
ことばもよくわからないのに、参加することにして、
予想通りに少々の苦労をしながら、何日か過ごした。
会場はディズニーランドに隣接されていて、
ホテルも、やっぱりそういう場所で、
ムードは最高なのだけれど、そこにいる理由が、
コンベンションに参加することだったんですよね。
つまり、ランドで遊ぶという機会はなかったわけ。

コンベンションの終わった夜、
あらためて歓迎だか打ち上げだかの食事会をやります、
ということで、参加者全員が会場まで行く
バスに乗り込むことになった。
フロリダというところは、想像以上に田舎です。
パーティ会場まで、森を抜け湖を眺め、
それなりの長い時間、バスに揺られていました。
田舎町のあれこれを見ながら走っていて、
ちょっと退屈してきたかな、と思ったころ、
前方に炎のようなものが見えるんです。
運転手は、バスを降りて近くにいた村人と話してる。
われわれの行く手を遮るように炎は勢いよく燃えて、
大声を出して走っていく村人や、
気のせいなのか銃声のような音がしたかもしれない?
「まことに申しわけないが、
いったん全員バスを降りてください」。
消防士はサイレンを鳴らし、ニワトリは逃げ出している。
あちこちの人混みでは、怒声が飛び交っている。
「どうしたんだ」「だいじょうぶなのか」
「パーティどころじゃないな」人びとの不安が、
最高潮に達したころ、騒ぎ回っていた村人たちが、
テーブルを出し、クロスをかけ、料理を並べている?
消防士やならずものは、いつのまにか楽器を抱え、
音楽が鳴りはじめた‥‥事件は、どこだ?
いや、事件じゃない。これがパーティだったのです!
しゃれたことをされちゃったなぁ。
あの夜のパーティのことは、ずっと忘れられません。
もう10年以上前のことでした。

ほぼ日刊イトイ新聞 今日のダーリン 2010年10月15日更新分
http://www.1101.com/home.html

専門学生時代にLC-Aで撮った写真。
原宿のどっかのお店の入り口にいたわんこ。

専門学生時代にLC-Aで撮った写真。

原宿のどっかのお店の入り口にいたわんこ。